陸水(リクスイ)とは、海洋に対する語であり内陸部に存在する湖沼、河川、ダム湖、河口域、地下水、湿地、雪氷などの水域、またはその水を表わしています。この陸水に関する総合科学として「陸水学」は発展してきました。
英語のLimnologyはギリシャ語のLimnos(水たまり、湖、沼沢)に由来し、元来は「湖沼学」を意味していましたが、現在は湖沼だけでなく陸水全般に関する科学として定義づけられています。
現在のように陸水で生じる諸現象を総合的にとらえる研究は19世紀末に始まりました。スイスのレマン湖を対象として研究を進めたF.A.Forel博士(1841-1912)、日本では1899年に山中湖の測深をおこなった田中阿歌麿博士(1869-1944)などの研究がその始まりとされています。
陸水で生じる諸現象の仕組みを解明することが陸水学の目標であり、その発展のなかから物質循環や生態系など、現在の環境科学の基礎となる重要な諸概念が生み出されてきました。その一方で陸水学は理論と応用が両輪となり発展してきたという特徴があります。水の利用や管理、水域汚染の制御、水界生態系の保全や改善など緊急を要する課題に取り組む応用陸水学の発展は、絶えず新しい実験や理論的発展を促してきました。21世紀にはこれら陸水学の成果を理解する人々がますます増え、さらに広範な関連分野に応用されてゆくことが期待されています。 |