会員数増加に向けての現状分析資料

会員数増加に向けての現状分析資料

企画委員会

1.正会員・学生会員の推移
陸水を対象としている学会として応用生態工学会・水環境学会と比較した。陸水学会では以前に2007年までの会員数推移の記録をまとめて分析を行っていることから、今回は2008年~2014年を対象とした。また以前は比較対象となっていなかった水環境学会と応用学会について同期間について比較を行った。

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陸水学会は2009年度、応用生態工学会は2012年度に会費を長期滞納している会員を除名している。正会員数を2008年と2014年で比較すると、70%に落ち込んだ陸水学会の減少が目立つ(水環境学会は84%)。

Graph2

2008年度と2014年度で比較して 学生会員数が減少しているのは陸水学会だけである。応用生態工学会は順調に増加している。

Graph3

学生会員比率は、学会の将来性を測る指標と考えられる。2008年度は陸水学会と水環境学会が14~16%とほぼ同等であったが、陸水学会だけが減少を続け、2014年度には応用生態工学会よりも低くなった。

2.会費の比較
陸水学会における会員減少(特に学生会員)の原因として、会費を検討した。陸水学会同様に自然科学分野の会員が多い海洋学会の会費も対象とした。
Graph4
学生会員が順調に増加している応用生態工学会の会費は、他学会の半額以下であった。

3.会員の特典
会員であることのメリットが陸水学会では他学会よりも少ない可能性を、学会誌への投稿および表彰・財政支援の2点から検討した。
陸水学会は和文誌・英文誌とも非会員も投稿でき、会員であることのメリットはない注)。海洋学会は英文誌「JO」の会員のページチャージが20000円、非会員は50000円とメリットがある。また「海の研究」の投稿は原則会員のみである。水環境学会誌の原著論文の投稿は会員のみである。応用生態工学会は和文誌・英文誌とも投稿は会員のみである。
表彰・経済的支援について、陸水学会と同程度に会費が高額な水環境学会と海洋学会について、ホームページの記載を調べた。両学会とも、会員のみを対象とする賞や援助が充実していた。特に若手支援に力を入れていた。応用生態工学会の賞は大会での発表賞のみだが、対象は若手だけでなく行政・コンサルを対象としたジャンルがある。若手の海外発表支援は全学会が行っている。
なおホームページには記載されていないが、海洋学会では大会期間中に、若手会員と執行部との懇談会をセッティングしている。また今年度から、学生・ポスドクが他大学・他機関に訪問し研究発表する旅費を支出する助成を応募している。

注)ただしLimnology誌は規程ページ数(原著10ページ、rapid communication Asia/Oceania report 6ページ)を超えた場合は、ページチャージ代として会員及びnon-OECD国の著者は超過ページ数1ページあたり1万円、それ以外は1ページあたり2万円としている。

4.会費収入
陸水学会が、会費が同程度に高い海洋学会や水環境学会ほど若手支援ができないのは、財政状況の逼迫が一因と考えられる。上記3.で調べた各学会の会費に2014年度の各会員数を乗じて、会費収入を比較した(ただし海洋学会は公開されている最新年度である2013年度の会員数を使用した)。
Graph5

学生会員の増加が順調な応用生態工学会は、会員数・財政規模とも陸水学会と同程度である。一方で、正会員・学生会員の負担が最も高いのが陸水学会で、応用生態工学会との差は歴然としていた。海洋学会も正会員・学生会員の負担8割以上と高いが、論文賞の副賞は日本海洋科学振興財団、NPO法人海ロマン21が負担していた。

以上より、陸水学会の会員増加・活性化において、若手会員の会費負担減少・若手会員のメリット増加・会費以外の収入増加対策が重要と考えられる。

 

以上